先週の金曜日、飛び乗ったJR内で揉め事が起こった。
満員の車内には私同様、数人が飛び込んだのだが、
20代OLと思しき女性が発車の勢いで後ろに倒れた。
車内には縦長の発砲スチロールを床においていたおじさんがいた。
足元にこれがある、ということは背後に寄りかかる人がいないということを指す。
支えのないおじさんは、彼女の重みに耐え切れず、
2人してしりもちをつく形で倒れた。
女の子は1人では立ち上がれない(ほぼ天井を向く形)だったため、
近くの人が腕を引っ張って助け起こしたが、この転倒により、
おじさんの発砲スチロールが割れ、水が溢れ出した。
中身はおそらく魚介類。釣りにいった帰りなのかもしれなかった。
ここで、おじさんが文句を言い始めた。
酔っ払っているのもあったが「ごめんなさいの一言も言わないなんて...」とネチネチ。
小さくではあったが、彼女は最初に謝っていたように思う。
声が小さいのは恥ずかしかったからで、仕方がないと私は思った。
だが、おじさんはしつこい。
満員電車の中では、移動もままならない。
女の子が泣いてしまうのではないか、とはらはらした矢先。
「パチン!」
なんと、おじさんが女の子の頬をひっぱたいたのだ。
しかも。
驚いたことに。
彼女は殴り返した。
さらに「ちゃんと謝ったでしょう!」と言い返したのだ。
あっぱれ!良くやった!
しかし、当然おじさんは頭に血が上る。
ヤバイ雰囲気になった時点で、別のおじさんが登場した。
「殴っちゃいかんだろう、殴っちゃ!」
確かにその通りだ。
この後「電車降りろ、やってやる!」のやり取りは行き過ぎだと思ったが、
とにかくこの第三の人物登場のスキに、奥にいた女性が彼女の腕を引っ張り、奥にかくまった。
酔っ払い男性の友人はひたすら手刀を切る形で謝っていたが、そんなもん謝ることにならん。
友達ならなぜ止めない。全力で。
結局その次の駅でそのおじさんたちは結構おとなしく降りてった。
タンカをきったおじさんは乗ったまま。
車内はそれなりに安堵に包まれた。というのも、私もその隣の子も、
おじさんがこれ以上暴れるなら割って入ろうと思っていた(アイコンタクト)。
が、先日ホームから突き落としがあったばかり。...最近、何がきっかけで
キレるかわからない。なので下手に制御して事態が悪くなる可能性もある。
みんな、そんな感じで様子を伺っていたのだ。
しかし、ここで別のちょっとした事件が起きた。
誰かが車内の異常を知らせるブザーを押したのだ。
背後で起きた事件だっただけに、私はつぶさにみていた。
絡んだおじさんは素面なら気が弱そうな人で、その分さほど緊迫感はなかったが、
かといって安心はできない。なにせバカが人をホームに突き落とす事件が
おきたばかりである。慎重に対処したほうがいいことは間違いない。
おじさんは降りたあとだったが、この警報でしばし電車はストップした。
駅長さんが飛んでくる。
「何かありましたか?」という問いに、
本人を含め数人の女性が説明する。私も少ししゃべった。
そうしたら、私の左となりにいた女性がこう言ったのだ。
「若干2名、急いでいるんで電車発車させてくれませんか?
大体こんなことぐらいでボタン押すなんて信じられない。チッ」
仰天した。こんなことぐらい...って。
事件が起きるわけないと思っているところで起きるから事件になるのに。
それにこれだけの人が使うのだから、何もなくスムーズに行くことが奇跡のようなものなのに。
この女性の口調があまりに荒かったので、まだぶつぶついうなら、ちょっと諌めようかと思った。
口をつぐんだので、私も何も言わなかった。
ただ...私は少し彼女に同情していた。
なぜか。
だってこんな言葉、言った直後はすっきりするかもしれないけど、
すぐ激しい後悔に襲われるに決まっている。
私だったら1週間は飯がまずい。
自分で自分を傷つけるなんて。
痛すぎる。
人から付けられた傷を癒すのは割りとたやすい。
考え方や見方を変えたり、反省することで自分でも癒せるし、
ほんのちょっとしたことで、簡単に浮上できたりする。
でも自分で自分を落とした場合、ダメージは深く、簡単なことでは癒えない。
なぜなら、それは自分への信頼感を失うことだから。
「また言うんじゃないか」「やるんじゃないか」
という自分への疑いは、一度起きたらそれこそ一生消えない。
そして同じことは、土壇場のときほど起き、さらに大きなダメージを負う。
傷はますます深くなり、自分で自分を嫌いになり、そして...。
自分のことを嫌になるような行為は、だから絶対にやってはいけないのに。
金曜日の夜。
内心、彼女と同じことを思った人は多かったのだろう。
私はといえば、電車の遅れは全然気にならなかった。
睡眠時間3時間で、翌日も夜中に起床することが分かっていても。
なぜなんだろう、と自問してはっとした。
この夜、私は好きな人と、美味しいものを思いっきり食べ、遊んだ後だった。
自覚はしてなかったけど、多分、すごく満たされていたから、平気だったのだと、
事件によって気づいた。
つまり、日が違えば、私も「チッ」と言った女性と同じ気持ちだったかもしれない。
たまたま、気分が良かっただけで。
電車が再び走りだすと、何人かが携帯メールを打ち出した。
到着が遅れることを知らせているのだろう。
車内はもう、何もなかったようになっていた。
遅れた時間は5分に満たなかったはず。
だけどその遅れが許せない人、知らせないとダメな人が一杯いる。
日が違えば、私だってそっち側だ。
それって...なんと殺伐としているのだろう。
ちなみに、万が一その車両に居合わせた男性が、
ここを読んでいるといけないので、記しておく。
あの車両に乗っていた「男性」と呼べる人は、止めに入ったおじさん、ただ1人だった。
Posted by kim at April 14, 2008 02:18 PMすごいトラブルに遭ったね
>事件が起きるわけないと思っているところで起きるから事件になるのに
まさにその通りで
犯罪を犯す側も被害者も、例えば幼児の事故なんかも
想像力の欠如が引き起こすこと、沢山あると思う
ほんの少し先回りして色んな選択肢を見つけることで
回避されること、発生しないことがいっぱいあるのに
それこそが人間にだけ与えられた智恵の力でもあると
私は思う
でも今の世の中ほんとに何がどう転ぶかわからない
だからこそ誰も助けに入らないよね
この間もバスに乗り合わせた中年の男が携帯電話を注意された別の男を殴り殺してる。しかも衆人環視で
誰も助けないなんてどうかしてる
だけど『誰かが携帯で通報するだろう』とか
『誰かがどうにかするだろう』と一人一人が思っていたら
たとえバスに100人乗ってても誰も助けに入らないだろう
ここがアメリカと違うんだな~
宗教のおかげもあってか、人の質が違う
>日が違えば、私も「チッ」と言った女性と同じ気持ちだったかもしれない。
たまたま、気分が良かっただけで。
コレに関しては答えはノーだ
だって人の本質は変わらないと思うから
私がもしどんなに急いでいたとしても
ああいう言い方はしない
ていうか真っ先に私がブザーを鳴らしてる方だ
それはkimさんも同じだと思うよ
人の命よりも大切なものなんてないとちゃんと知ってるから
あっと言う間に起こったんだよね~これ。
おじさんが何かやったら割り込んでやろう、って思ってたんだけど、
まさか手が出るとは思わなかった。
女の子がやり返したのもびっくりで、
しばし呆然。
確かに、言わないとは思う。
でも心で思ったなら同罪じゃないのかなって思って。
それで、自分を戒めるつもりで。
良くないこことはわかっていても、数分単位で日々の
スケジュールを立てている自分がいて、
それが崩れるとすごく腹立たしいことがあるから。
いつも困っている人の立場にたって考えればいいなと思う。
理想だけどね。
でもねえ。
一番考えたのは、ホント、男は役に立たないってこと。
特に20、30代の奴ね。
彼女を庇ったり、駅長さんに話したりしたのは
ぜーーんぶ、女性。
男どもにはそれぞれ彼女や妻がいるはずだろうけど、
「こういう場面にあったらどうするか」って会話、
しないのかな。
不思議だ。
