東京フォーラムでやってる「人体の不思議展」を
ようやく見に行った。昨年見損ねて、1度休みの日にいったら
1時間待ち。んで今日の午後、仕事が終わってからいってみた。
混んでなくてラッキー。あれで人一杯だったら大変。
それでもどのショーケースも人で囲まれているほどには
混雑していた。
さて。これは本物の人体から完全に水分、脂肪を取り除き、
変わりにエキシポ樹脂とかシリコンをしみこませているもの。
「プラストミック標本」といわれ、無臭で手で簡単に触ることができる。
つまり全部本物。献体により、提供されている。
自分がこれにいったのには、訳がある。
擬似ではなく、本物であるということ。それとは別に…。
そう、私は「死体」が怖いのだ。昔から。
いい年してと思うけど、全くダメ。写真週刊誌のえげつない写真も
見るとしばらくうなされる。血もダメ。怪我もダメ。もうダメダメ。
なぜかこのことにコンプレックスがあって、少しでも強くならなきゃ、
と思って、慣れるために行こうと思った。
献体の方の遺志を思うと、はなはだ不謹慎な動機でもうしわけない。
さて。会場はさほど広くない。事前に説明がある。
「会場内にトイレはありません。しかし再入場もできません。
なので事前にお済ませください」
…ずいぶんと不親切だ。だけど、中に入ってまあ仕方ないかと思った。
貴重な標本は今日ほどすいていればじっくり見れる。
逆に言えば今日が限界だと思う。休日だったら本当に見るのに苦労するだろう。
そんなときに再入場自由にしていたら…それこそ大変だ。
入ってすぐ夢中になった。
気持ち悪いとはいえる。確かに。人間の体は筋肉、というより筋と腱、
それと内臓でできてるんだと良くわかる。
なんつーか…地鶏の骨付きモモ肉食べると、骨にこう、肉が筋と
なってついているでしょ。あーゆー感じ。
人間の体って筋だらけ。食ってもうまくないだろーな。
全体標本もたくさんあって(でもそれぞれ示す内容が違うの。
内臓とかサンシャ神経とか)、それでわかったのは胸はやっぱり
みんな筋肉がついている。だけどおなかはぶよぶよしてる人はぶよぶよ。
女性の全身標本が一体だけあったんだけど、胸はなんだか
ぶよぶよの膨らんだ目の粗いスポンジをぽこん、ってかぶせたみたい。
脂肪と筋肉の違いにびっくりです。
筋肉はともすれば「かっこいいかな」と思えるけど、
脂肪は…気持ち悪い。なんだか。まあ筋肉見てると筋筋しくて、
気分がぎすぎすしてくるってのもあるけど。
驚いたのは、肝臓がめっちゃでかかったってこと。
イメージはその半分だった。脳よりでかい…。
そしてそのスライスを見て、呆然。
「これ、フォアグラじゃん…」
そっくり。ってか、そのものでした。
あと顔のスライスもあった。顔の表面をすぱん、って切ってあって。
眉も産毛も生えたまま。表情もあって、なんだか少し怖かった。
この人たちはもう痛みも感じることはない。
献体されるのは、ある意味どこか満たされていた人なのだろう、と
思うのだけど、やっぱり少し痛い。
とにかく全身輪切り。好きなところですぱっとね。
腸は長かった。んで中はしわしわだった。
病変の内臓もあって、ガンの肝臓とか、肝硬変とか、
脳腫瘍とか、胃がんとか、いろいろ。
最後には「脳の重さを感じよう」って脳の標本を持ち上げられる。
みなぞんざいに扱ってて驚いた。(丁寧に扱って、と但し書きがあるのに)
持ち上げた感覚は「重いといえば重い、でもこれだけとおもえばこれだけ」
というなんとも中途半端な感覚。
もちあげて、シリコンのせいか少し手の平に吸い付く感触を味わいながら、
「これが…モノを考えていたんだ。誰かの世界がこの中にあった。
自我をこの脳が持ちえていた」と、思った。
不思議な感覚だった。
胎児の標本もあった。3ヶ月はカエルほどの大きさなのに、
見る見るうちに大きくなる。10ヶ月の子供は本当にこんな子が
おなかの中にいるのか~と思う。
でも悲しくなった。だってここにいるってことは、
この子たちは生を全うできなかったってことだから。
何かを感じる前に、終わってしまった。
そう思うと悲しくて、見ていられなかった。
ついでに見学している人たちを見た。
まず目立ったのはカップル。どうもどちらかが医学生っぽい。
もしくはカイロプラクティクとか、いずれにしろ人体にかかわりのある
学生らしき人物が目立つ。話している会話に専門用語が混じってる。
あと女性1人できて、メモをとっている人。
他、おじさんも結構いた。これは純粋な好奇心なのだろうか。
少なかったというか皆無はおば様。そう、ヨン様に夢中になる感じ、
歌舞伎座に出入りするようなかたがたは全くいなかった。
男子性器の標本に女性が群がっているのも笑えた。
でもぜんぜん乾いてて、睾丸なんか伸びちゃって、
ペニスと同じぐらい長い。
最後に触れる人体標本があるんだけど、その部分を触って
きゃっきゃいってるカップルとかいて、それもおかしかった。
本当は本が欲しかった。だけど見本を見て、私が読みたかったのは
人体の細部にわたる説明ではなく、標本を作るための苦労話とか、
歴史とか、その意義とか、どちらかというと人文学的な部分だと
わかったので買わなかった。買う気満々だったんだけど。
最後のショップに人骨Tシャツとかあったのがまた泣ける。
でもな~お土産もの充実してくれればいいのに。
大英博物館とか、メトロポリタンとか。
いやかなり惹かれたけど。骨Tシャツ。
本当はその後、資生堂美術館に行きたかったけど、
月曜休館だからあきらめた、とかいったら、
私が見たいのは8日からだった。行かなくてよかった。