久々に見た彼は、以前と同じ笑顔のままだった。
大好きな、太陽のような笑顔。あんな顔で笑う人を、いまだに私は他に知らない。
見つけたのは偶然じゃない。探した。
忘れていたのも同然だったのに、なぜ急にそんなことをしたのか。
もうずっと前、出会ったあの場所が何度も画面で流れていたから。
彼は職業も、住む国さえも変わっていた。
予測はついたものの、少なからず衝撃を受けた。
足元がぐらつき、私を支えている大事な周囲や環境が急に虚ろに見える。
自分はこんなところで、何をしているのだろう。
大切だと思っていた日々の細かなことが無意味に思えてきた。
「彼は今も私のことを好きだろうか」
そんな疑問がふと浮かんだけど、でも、それは実際、全然重要じゃない。
人を好きになるのに理由はいらない、理由はない、理由があるなんて偽物だという。
でも私は、彼のどこに惹かれたのか明確に答えられる。
今の職についてから、周囲はいわゆる「できる人」ばかりだった。
高学歴に加え、
「息を呑むほど頭の回転が速い人」
「大変広い視野を持ち、瞬時に決定していく人」
「人の心の中に入り込み、何でも本心を聞き出してしまう人」...。
自他共に認める「一目置かれる人」だらけで、そうした才気に触れるたびに、
しがない地方出身の私はほけ~としたものだった。
でも。どれだけ周りの人たちが優れていても。
後にも先にも、彼だけだ。
「これが才能、というものなのか」
そう感じた人は。
真夏の坂道、振り返ると眩しくて何も見えない。
彼はそんな風に輝いていた。
才能が目に見えるとしたら、それは彼自身のことだと思った。
だけど目に突き刺さるような眩しさと同じくらい、彼自身も尖っていて、
惹きあえば惹きあうほど、その棘が全身に深く刺さった。
最後は、お互いが穴だらけになって、もう突き刺す場所もなくなって、くっつきあうことも適わず、離れた。
愛するより深く憎むことができると知った。
なのに、私の中に残っているのは、やっぱり眩しさだけだ。
2人でいると、何もかもが白く、輝いて見えた。
心臓は常に高く鳴っていた。
「世界」はこれほどまでに広いのだと教えられた。
あの熱。あの光。あの鼓動。
取り戻したいのは、彼の愛情じゃない。
あの強烈な日々、1年が1日にも感じられるような激しい時間。
今、穏やかで満ちたりているのに、
飛行機の音を聞くと、全てを捨ててどこかに行きたくなって気が狂いそうになる。
このまま二度と戻ってこれなくても構わないと、心から思う。
体の奥に眠る記憶が揺り動かされて、苦しくて苦しくて、息ができない。
また、あとでね。
待っててね。
